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XDCAM EX [HDV]

SONYの新型、PMW-EX1が発売に。某所からお借りしてテスト。

撮像素子 1/2型、Exmor CMOS、有効画素数 1920(H)×1080(V)
感度   F10
映像SN比 54dB (標準)
水平解像度 1000TV本以上

感覚的には、HDV初代のFX1という感じで、恐らく設計グループも同一ではないかと感じた。

重くて驚いたが、高画質でも驚いた。ボディなどはとってもプラスチッキーで、FX1から全然高級感が増していないのだが、内容にお金がかかっているのだろう。従来のXDCAM HD が2/3インチになり、422で画質を上げて来てるところに、従来だと330万円くらいかかってやっと手に入った高画質が、これは70万円で買える。

FCP6.0.2で編集も可能になった。QuickTimeにXDCAM Transferというソフトが変換してくれる。Core2Duo では、実時間の1/4から1/5の時間で完了する。.mp4から.movになるが、それでもVBR35Mbpsのまま。この.movファイルは、普通にQuickTimePlayerで再生できるし、Motion3でもXDCAM EX 1080/60iのプリセットがあり読み込める。

HDSDIでブラウン管のモニターと、iMac24インチ液晶のFullHDで見たが、非常に繊細な1920の映像が見て取れる。直接のライバルはHDD5の1920で、HDCAMとは凌駕している部分と劣る部分とがある。

細かい部分での圧縮ノイズは見つける事が出来るが、それはHDVよりずっと上のレベル。容量制限のきついメモリー記録ということもあり、落としどころとしての35MbpsのVBRは、なかなか良い所をついている。メモリー記録だからこそVBRが使えるわけで、組み合わせはよい。

HDCAMを記録フォーマットとして見るならば、XDCAM EXのほうが解像度や発色では勝る部分もあり。ただ、HDCAMのカメラという完成品としての750などと比較すると、やはりまだ2/3と1/2の違いを感じる部分も残る。だが、総じて70万円で買えるカメラとしては、すごい高画質とは言える。

驚いたことにこの値段でCinealtaだから、ソニーマーケティングの突拍子の無さには驚かされる。今年、最も大きなサプライズだ。十分に映画が撮れるカメラだ、という意味で。しっとりとした24コマや30コマがネイティブで撮れる。HDVテープでの24Pは、擬似的に60iに24PsFで撮っていたので、データ量は60iと変わらなかったが、24Pネイティブでメモリー記録すると、2割少ない容量で済む。

FCPでの反応はきびきびしたもので、別にHDVと変わりはない。しかし、ついつい素材の窓を大きくして、フルHDで見たくなってしまうのには、笑ってしまうほどだ。最初だけだろうが、編集効率が悪いことといったらない。。。

なお、SPモードで撮ると、1440x1080の25MbpsになりHDVと同じ圧縮であり、さらにi.LinkでHDVテープデッキエミュレーションが働くから、これまでのノンリニアで編集するのは全く問題ない。ノンリニアから巻き戻しや早送り制御もやってくれ、カメラ液晶のサムネイルのブリンプが移動していく。このSPモードでも、光学系がよいので、これまでのHDVカメラよりは高画質だ。

またこの価格でHDSDI出力が付いており、あたりまえだがこのスルー出力は非常に美しい。エクスパンドフォーカスという、昨今のプロ機では結構付いてる機能も載っている。画面中央を拡大して、マニュアルフォーカスを合わせやすく見せてくれる。

重いバッテリーで360分とかインフォリチウム電池残量が出るが、実際には4時間ほど持つ。軽い方が半分で、重量も半分になり、なんと400gも軽くなる。こっちでも2時間も持つので、軽い方(U30)がお勧め。

ただ、重量バランスといい、ボタン配列といい、デザインといい、このゴツゴツとして洗練されていない所はFX1そっくりで、長時間撮影で大変な思いをする覚悟と、自前で編集しクオリティより内容を自問自答することと長い付き合いになるのを覚悟すれば、個人でもボーナスやローンで、小さなプロダクションでもルーカスから始まったCINEALTAを買ってみるのもアリだろうか。僕はとても買えないけれども・・・・。

真剣に映画を作りたいアマチュアを、こうした機器面で応援するメーカーには、がんばってもらいたい。


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栃木のおじさん

今晩は。
お久しぶりでございます。
今回のブログ、実に参考になります。
私もインタービーで見たのですが、確かにかなりの高画質でした。
HDCAMのカメラ部だけと比較しても、HDW-700Aクラスとならば、うちのメインであるステージ収録では、明るさを始めとして、EX1のほうが上のような気がしました。
さすがに750クラスとの比較では、解像度以外は辛いかも、、ですが、編集プロセスを考慮すると、公開されていないHDCAMフォーマットはHDSDIとの行ったり来たりで、かなりの画質劣化、、EX1のほうがかなりよろしいですね。
ちなみに、確かにFX1にそっくりですが、設計は厚木だそうです。f(^_^;;;
私などは、ステージ収録専門なので三脚使用が前提ですから、EX1の重さもバランスの悪さも気にならないです。
重さなどは、普段が700A使っているので、軽すぎるくらいです。ヽ(^O^)ノ
来年度は、すべてEX1に置き換えになるかもです。f(^_^;;;
ただ使い方は、25MbpsモードでM25Jを使って、HDV収録となりますが、、。
by 栃木のおじさん (2007-12-26 17:23) 

moo

お久しぶりです。

確かに、700より上でしょうね。。。暗所性能も。悲しいかな。。高画質なスルーのHDSDI出力さえあればいい、という使い方なら、XDCAM EX圧縮やSxSカードがややもったいないですが、良い買い物だと思います。

動きのあるハンディロケならHDCAMやDVCPROHD、三脚固定がほとんどならXDCAMという感じがします。イントラ圧縮の強みは、HDCAMなどに間違いなくあります。

で、AVC-Intraの50や100っていうのがPanaの提案ですが、むしろ、メモリーのSxSやらSDやP2がランニングコストやら素材バックアップのフローに載ってくるのかどうかのほうが重要ですし、カメラとしての性能や使い勝手も借りて使ってみないといけませんね。

栃木のおじさんの場合は、S270Jも候補ですね。最終結果にBD画質以上を求められないでしょうし、HDVスタンダードの長時間記録の魅力はありますし、今のシステムを単体にシンプル化できますし。撮影HDV画質として、1/3インチでも十分なのかどうか、がポイントになるのではないかと。

暗所性能が、HDV圧縮後の影響として、1/3インチのデメリットになるかどうか、一度Z7JかS270Jを借用してみて比べてみる必要がありそうですね。レンズ機構周りの設計は似ているのですが、イメージャーの大きさからくる画質はじんわり効いてくるものですから。
by moo (2007-12-27 07:18) 

栃木のおじさん

おばんでございます。
レスをいただいてありがとうございました。m(._.)m

>栃木のおじさんの場合は、S270Jも候補ですね。

実は、標準サイズのテープが使えるということでそれをチェックするのもインタービー見学の目的でした。
しかし、やはり1/3インチ、100万画素レベルなので、現用中の2/3インチHDカメラ→HDV変換機→HDVレコーダー(M25J)の画質とでは、いささか辛い感じでした。
基本的に、Z1Jクラスと同等レベルなので、引き絵のときにかなりボケた感じになってしまいます。f(^_^;;;
できれば、HDW700Aの引き絵レベルに合わせたいので、やはりEX1クラスが欲しいですね。f(^_^;;;
ただ、巷では、25Mbpsモードは、HDVカメラよりもノイジー&動く被写体に弱そう、、という噂ですね。f(^_^;;;
by 栃木のおじさん (2007-12-27 21:35) 

moo

25Mbpsも35Mbpsも、オートで上がるゲインアップが結構あって、これでかなり明るく撮る性格のようで、35Mbpsでも暗い所はノイジーでしたよ。夕方の屋外の日陰でも、ND2にしたままでいると、当たり前ですがとたんに解放でMAXゲインまで上がって、スゴいノイズです。

12dBも上げるとどんなカメラでもノイジーなので、6-9dBあたりで抑えるように使えばいいのかなと。そのためのリミッターもメニューにあったと思います。また25Mbpsでは、この手のノイズが起きると、とたんにビットレートを食われてしまい、画質劣化しますしね。その事が噂になっているのかな。
by moo (2007-12-28 01:49) 

kiki

はじめまして、hamaproさんのブログからこちらを拝見しています。
 EX1所有する自分からしてみると、明るいようでやっぱりノイズが出てMPEGによく見る正方形ブロックノイズは哀しいかな必死です。
またスティルのようにとればきれいですが、5秒ぐらいで90度パンする速さでも振るとどうしてもボロボロが見えてしまいます。700のえは見たことないですが、動きながら撮るとMPeGはどんなに進化しているようでも解像度が維持されることがない気がしてきました。ただ高級機の解像度が手に入ったことは非常に満足でした。
by kiki (2007-12-30 14:36) 

moo

kikiさん、コメントありがとうございます。遅くなりました。フルHDのモニターで見るなら、MPEG系の圧縮は、パンやトラックなど動きのある動画では必ずブロックノイズは出ますね。

地上デジタル放送がMPEG2 13Mbpsを超えないので、これと比べればEXは非常にきれいですが、合成素材やBDなど最適化を最終マスタリングで行う場合には「もの足らない」となると思います。

内容や最終ターゲットを何処に見据えるのかで、このあたりの選択は考えが分かれると思います。
by moo (2008-01-10 16:44) 

moo

それと、Cineモードを試してみましたか?
最初から24コマしかない場合は、情報量が少ないので当然ですが、ブロックノイズが出にくい効果がありますね。
by moo (2008-01-10 16:47) 

production x

カメラパン時のブロックノイズ発生はMPEG2圧縮自体の弱みというより、HDVやこのEX-1で採用されているMPEG2がLong-GOPと呼ばれるフレーム間圧縮方式であることに起因するのではないかと思うのですがいかがでしょうか?

パナソニックが提唱しているAVC-Intra(これはMPEG4ですが)や、ソニー上位機種で採用されているMPEG HD422という圧縮では、イントラフレームと呼ばれるフレーム内圧縮方式が採用されています。

複数フレームに渡って、データ圧縮するフレーム間圧縮と、
1フレームごとにデータ圧縮するフレーム内圧縮。

フレーム内圧縮によってこの問題が解決できるとすると、間もなく海外のサードパーティから画期的なデバイスが発売されます。
そのデバイスをEX-1のHD-SDI出力端子に接続すれば、撮像素子からの非圧縮10bit422データを、MPEG HD 422のイントラフレーム方式でCFカードに録画できるようになります。
しかも超小型で重量も500g!EX-1のバッテリー側にくっつけて使用できます。
価格が5000ドルらしいので安い買い物ではないですが、この値段で何百万円もする上位カメラと同等以上の映像を撮れるならば、いい投資かも。。。
by production x (2008-01-26 10:41) 

moo

ハイビジョンの放送規格に採用されているMPEG2 LongGOPに起因する圧縮ノイズは、当然HDVにもありますが、それは放送画質を超えているCODECとして織り込み済みというか、致し方ない部分として認知されてきたと考えます。容量やビットレートに対して、高解像度なものを詰め込むための一つの方法論として、少なくともこれまでは。

AVCIntraのように、H.264をうまく使った新たなCODECが出てくれば、それは新たなものとして適材適所で使われていくので、徐々に状況に変化が起こります。それもこの数ヶ月以内に出てきたものであり、22年前の大きなタンスほどもあったCODECからの、これもハイビジョン開発の歴史の一幕となりましたが、こういうイノベーションはこれからも続くことでしょう。

5000ドルというのは、Apple のProRes422の採用製品についてでしょうか。HDDやらCFへの記録は機構が簡単なので実現は易しいのですが、結局の所、CODECの複雑さと電力のバランス、メディアの容量とビットレートのバランス設定が、どのあたりにするのかだろうと感じます。

AVCIntraもそうですが、プロ用であれば100Mbps程度は楽に許容できますが、民生品カテゴリーでは無理でしょうね。8cmDVDのAVCHDムービーのように、20分ごとにメディアチェンジを強いられるのは、あまり使い勝手はよくないですから。プロ取材用では十分な長さと見込まれますが、民生では売れない。

XDCAMの35Mbpsというのは、この命題についてのSONYらしい非常に微妙なスイートスポットを突いている回答だと思います。民生でややオーバースペックだけど、プロ用としても使えるレベルで、メディア容量と時間のバランスを取ってる。

対するパナのAVCIntraは、業務プロ用途に割り切ったわかりやすさがあり、スジが通っています。ただ最後は、光学系技術や営業戦略面を含めたトータルの勝負になってくるでしょうね。
by moo (2008-01-29 01:37) 

production x

>5000ドルというのは、Apple のProRes422の採用製品についてでしょうか。HDDやらCFへの記録は機構が簡単なので実現は易しいのですが、結局の所、CODECの複雑さと電力のバランス、メディアの容量とビットレートのバランス設定が、どのあたりにするのかだろうと感じます。

おっしゃっているProRes422採用製品というのはAJA ioHDのことだと思いますが、それではありません。ioHDをEX-1のHD-SDI端子に接続し、ioHDをFirewire800でMacBook Pro に接続すれば、現場でライブレコーディングできるようですが、このシステムではスタジオオンリーになってしまいます。
ロケで使用できるコンパクトなデバイスを探していたところ、海外メーカーが開発中であるとの情報を見つけたのです。

CODECはSONY製モジュール使用で、MPEG2 422P@HL。
イントラフレームで最大160MbpsのVBRです。
保存ファイルフォーマットはMXF。
電力はDC8Wで、アントンバウワーのバッテリーから4pinのXLRで供給可能。
メディア容量は、X266の8GBのCFを同時に4枚使用できるスロットが付いています。4枚使用時に最高画質で約100分の連続録画可能。
オーディオも非圧縮、TCエンベデットです。
おまけにRedrock MicroなどのDOFアダプター使用時には撮像を上下フリップできる機能も付くそうです。

まるで夢のようなデバイスです!

EX-1はレンタルに割り切って、このデバイスとCFカード、DOFアダプターとSLR用単焦点レンズ数本だけ購入(計100万円位?)してしまえば、低価格&高画質ワークフローを実現できることになります。

パナソニックがコンパクト業務用カメラで対抗するなら、AVC-Intraと1/2inchセンサー搭載カメラを同価格帯で出さないと厳しいでしょうね。
by production x (2008-01-29 11:40) 

kiki

mooさん、コメントしていただきありがとうございます。
また、production xさん、そのデバイス初めて知りました。現在Z1J、HVXも所有しているのですが、それが手に入るのなら後者2カメは処分したい気になりました。名前をぜひ教えていただけませんか?
by kiki (2008-01-30 17:31) 

kiki

追加ですみませんが、もしかするとそこまでの金額ならば、EX1の手放して少しの勇気でREDONEにするのに同等の金額になるかもしれませんね。
by kiki (2008-01-30 17:44) 

production x

kikiさん、

このデバイスの名前はFlash XDRといいます。Convergent Designというビデオ関連周辺機器を扱っている会社が現在開発中で、2008年中に出荷する予定だそうです。
日本ではまだ知られていませんが、アメリカのビデオ関連ブログでは一部で話題になっています。
価格が高いので導入をとまどってしまいますよね。

ただ、REDONE はボディのみで180万円、カメラとして使用するにはその他様々なモジュールやオプションパーツを揃える必要があります。高価なシネレンズも必要になる上、一人でのオペレートは困難であり、大規模撮影用と言えると思います。HVX、Z1J、EX-1などとは別次元のカメラで。かかるコストやワークフローも異なったものと捉えた方が良いでしょう。

EX-1のボディを60万円、Redrock Microに20万円、ツァイスのSLR用単焦点レンズ3本で30万円、Flash XDRに60万円で計170万円。。。

ちょっとコストオーバーですよね。
アメリカのサイトでは、EX-1の35MbpsのMPEG2 Long-GOP圧縮が、サンプリングレート4:2:0なのに、4:2:2の上位機種と区別がつかない程の画が撮れる、という声もあります。
1/2inchイメージセンサーサイズの恩恵でDOFも1/3inchのものに比べ格段に浅いらしいので、無理に上記170万円の投資は必要ないかも知れません。
by production x (2008-01-31 07:40) 

moo

production x さん、kikiさん、コメントありがとうございます。遅くなってすいません。。

Flash XDRを認識しました。いずれはこういうモノが出てくると予想していましたが、位置づけとしてはAVCIntraの上位に位置するものと感じました。

仕様通りであればプロ用に使えるCODECだと思いますが、かなり高いビットレートなのでまたNLE環境が揃うまでには時間がかかりそうです。

が、HDSDIで記録再生ができる以上、こいつのライバルはHDCAMやHDD5という感じで、処理はインフェルノで、なんて話かもしれませんね。特にLongGOP100Mbpsとか、170MbpsのI Onlyなんてのは、実際の動画で非圧縮と比べてみたいものです。

ただ、本当にこんなに小さくて、こんなに消費電力が少なくて、これほどの処理が可能なんだろうか?と、疑問符がまだ頭の中に残っています。いずれにせよ、動向をウオッチしていきたいと思います。
by moo (2008-02-19 23:32) 

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